米国株式の銘柄分析をします。
今回は、ジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)です。
ジョンソン・アンド・ジョンソン概要
引用:JNJIR
ジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)と言えば、ヘルスケア全般を扱う総合ヘルスケア企業です。
ヘルスケアと言っても、医療用医薬品(バイオ創薬含む)・医療機器・一般大衆医療品(バンドエイド・コンタクトレンズ・タイレノール等)=比率5:3:2と幅広く取り扱っています。
創薬の特許切れ時には、医療機器・一般大衆薬でカバーするといったことが出来るのが、JNJの強みですね。
引用:JNJIR
近年では医療用医薬品部門が好調で、抗がん剤イブルチニブ、関節リウマチに効くレミケード、抗凝固薬イグザレルト、免疫抑制剤ステラーラといった薬剤がヒットしています。
この辺の薬は、全て他社を圧倒してシェアを拡大できる可能性の高い薬剤です。
レミケードは、もうすでに他社を圧倒しており、反復服用が必要な薬剤のため、定期的に収益があがるような状況です。
引用:JNJIR
JNJ関連で有名なのは、1982年のタイレノール事件です。
タイレノールという販売薬剤に劇薬シアン化合物を何者かに入れられ、知らずに購入服用して死亡した事件です。その際にJNJは、即タイレノール全製品のリコールを行い、CM・新聞広告等で1億USドルの損失が発生しました。
「消費者の命を守る」ことを謳った「我が信条」(Our Credo)に沿った対応で、今でも危機管理のお手本にされています。
地域別・業種別売上
引用:JNJIR
IRレポートから、連結売上ベースの地域別売上高です。
これを見るとアメリカ半分・それ以外半分といった売上割合です。アメリカ一極集中だと地域的リスクがあるので、一定以上の分散ができています。
引用:JNJIR
事業割合部分を引用しています。
医療用医薬品(バイオ創薬含む)・医療機器・一般大衆医療品=5:3:2くらいの割合で推移しています。
一番利益率の高いのは、医療用医薬品です。JNJの場合、先程書いた医療用医薬品類が、持続的に利益をもたらす可能性が高いです。
医療機器・一般大衆医療品関しても伸びはイマイチですが、コンスタントに売上を計上してくれます。
業績
売上/粗利/純利益・営業利益率
キレイな横横グラフです。
※2017年度純利益は、税制改正の影響
売上/粗利/純利益共横ばいに近いですが、営業利益率は平均25%以上と高い利益率を稼ぎだしています。
医療用医薬品が利益が取りやすいので、将来の利益推移も比較的安定した実績をあげてくれるだろうと考えます。
貸借対照表
自己資本38%と一般的水準です。
更なるM&A等で、もう少し自己資本比率を下げても問題無いような気がします。ビジネスモデルが長期的に良好に推移しそうです。市場暴落した時に投資するのかもしれません。
配当性向/DPS
連続増配55年連続増配銘柄
配当が右肩上がりの綺麗なグラフです。
配当性向も急激に上がらず、40-50%台なのでこのまま連続増配記録を伸ばしていくのでしょう。
4月に増配(1株0.84→0.9ドル)して、現状の株価で3%切るくらいです。
キャッシュフロー
2012年はシンセス社〈約215億ドル〉、2017年はアクテリオン社〈約300億ドル〉(どちらもスイス)を買収しています。
シンセス社は、骨接合医療器具メーカー。アクテリオン社は、製薬会社です。
昔から買収しながら、商品拡充を行うのを得意としている会社で、近年も上記のような大型買収を実施しています。
非常に高いFCF(フリーキャッシュフロー)が、買収の原資になっています。
これだけ儲かったら、笑いが止まらないでしょうね。
主要数値
主要数値として、売上・純利益・営業キャッシュフロー・キャッシュフローマージンをあげています。現金派なので、キャッシュフロー計算書を中心に見ています。
キャッシュフローマージン(売上高/営業キャッシュフロー)が、25%付近と非常に利益が高い商売をしてます。見ていて、安心感がありますね。
当期純利益よりも営業キャッシュ・フローが常に高いですし、盤石の一言です。
リスク
薬害リスク
製薬会社はどこも同じリスクを抱えていますが、薬剤による人体への薬害リスクです。
日本でも古くから、薬害エイズ・薬害肝炎等の「薬」による害毒が、都度大きくニュースに取り上げられています。
治験段階であれば問題ありませんが、販売後に発生した薬害に関しては、製薬メーカー責任になります。
各社事前に副作用に関して記載したり、十二分に注意しているはずですが、起こる時は起こる。発生した場合、多額の損害賠償必死です。
バイオシミラー
最近流行りのバイオ製薬
各社こぞってバイオ薬品を製造販売しています。
バイオシミラーとは、簡単に言うとそのバイオ薬品をコピーする手法(同等/同質の品質、安全性及び有効性を有する医薬品を作成する)です。
虎の子のバイオ薬品を簡単にコピーされてしまうと、企業としては非常に困ります。
訴訟等で販売を差止め・延期させたりしていますが、現状非常に流動的ですので注意が必要です。
チャート
5年チャートですが、キレイな右肩上がりです。
最近になって下げに転じていますが、5年間買い場があまりない状況が続きました。
現在は、下げトレンド転換or押し目の状況ですが、100ドル辺りが一番の買い場かなと考えています。
そこから下がるなら、200日線の110ドルor価格節目の100ドルが見えてきます。景気後退がくれば、その辺まで目処で下がるかもしれません。100ドル以下で買えるなら、絶好の買い場な感じがします。
まとめ
まとめておきます。
- ジョンソン・アンド・ジョンソンは、ヘルスケア全般を扱う総合ヘルスケア企業
- 医療用医薬品(バイオ創薬含む)・医療機器・一般大衆医療品=5:3:2くらいの割合
- 平均25%の高い営業利益率
- 連続増配55年連続増配銘柄。配当性向も40-50%台
- 高いFCF(フリーキャッシュフロー)獲得能力
- 「我が信条」(Our Credo)が有名
抜け目なく買収先を狙っていて、この会社はリセッション(景気後退期)の方がいいのかもしれません。
キチンとリスク分散されたポートフォリオを保有していて、現金獲得能力が高いので、ある程度の安値になったら積極的に拾っていきたいですね。
企業名(リンク先は銘柄分析) | ティッカー | 業種 | 主要製品 |
---|---|---|---|
アッヴィ | ABBV | ヘルスケア | ヒュミラ |
International Business Machines | IBM | IT | 汎用大型コンピュータ、クラウド |
ジョンソン・アンド・ジョンソン | JNJ | ヘルスケア | イブルニチブ、レミケイド、ステラーラ他 |
アルトリア・グループ | MO | 生活必需品(タバコ) | マルボロ |
ペプシコ | PEP | 生活必需品 | ペプシコ |
フィリップ・モリス | PM | 生活必需品(タバコ) | マルボロ |
プロクター&ギャンブル | PG | 生活必需品 | アリエール |
AT&T | T | 通信 | 4G(5G注力中) |
ベライゾン・コミュニケーションズ | VZ | 通信 | 4G(5G注力中) |
エクソン・モービル | XOM | エネルギー | 原油・シェールガス |
コメント