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【T:米国株銘柄分析】AT&Tは、グラハム・ベルを源流に持つメディアコングロマリット企業

米国株式の銘柄分析をします。

今回は、AT&T(T)です。

AT&T概要

AT&T(以下T)は、グラハム・ベルのベル株式会社を源流にもっています。しかしながら、1983年にスピンオフしたSBCコミュニケーションズに2005年買収されました。

小会社が親会社を買収する事態となったわけですが、NYSEでのTの一文字シンボルとTの知名度を残しておくため、SBCコミュニケーションズではなく、AT&Tの社名を選択したようです。

 

シェアとしては、ベライゾン・コミュニケーションズ(以下VZ)と米国シェアを2分する大手電気通信事業者です。

T-Mobile US・スプリントといった上記2社を追随する企業がありますが、少し物足りません。この2社は合併話があっては消えの繰り返しなので、上位2社を今のところ脅かすまではいっていません。

 

VZの時も書いきましたが、通信分野の主導権はIT大手(グーグル・アマゾン等)に取って変わられ、通信網提供会社に成り下がっています。

米国通信業界では、積極的に買収攻勢を行っている企業ばかりですが、Tも同様に買収合戦を仕掛けています。各社現在のアドバンテージ(高いキャッシュフローマージン・キャッシュ獲得能力)を次世代の種まきに使用している状況です。

 

最近では、2016年から係争中であったタイム・ワーナー買収(864億ドル)を完了。

賛否両論ありますが、キャッシュを生み出す力が強い企業を買収したなというイメージです。

 

本業は、実物資産(世界最大級IPネットワーク)無形資産(1億3千万人以上の加入者)共堅調です。MVNO等の割安回線業者が存在して、顧客離れもありますが、一定数のユーザーの囲い込みは成功しています。

VZと同じく、第5世代通信網(5G)が成立普及すれば、IOT・自動運転等データ通信量が爆発的に増える可能性が高いので、大化けするかもしれません。

引用:Tアニュアル・レポート

アニュアルレポートから、連結売上ベースの事業割合部分を引用しています。

ワイヤレス部門(無線):ワイアライン部門(有線)=3:1くらいの割合です。ほぼ米国内専業です。

有線部門(網掛け部)に関しては、近年縮小傾向であり、無線部門に関しても売上横ばいのため、買収による多角化・売上・利益の増加を必要に迫られて行っている印象が強いです。

業績

売上/粗利/純利益・営業利益率

良い意味で横ばい、悪い意味で成長性が悪い売上グラフです。

通信事業者大手はどこもこのような感じで、同業他社買収によるスケールメリットを強める(垂直統合)or異業種買収による多角化(水平統合)を選択しています。

同業他社に関しては、アメリカ司法省が独禁法に引っかかるとして、近年あまり認めていないので、各社後者を頑張っているのが現状です。

貸借対照表

自己資本30%近くと、十分余力がある財務状況です。

通信業界は、キャッシュフロー獲得能力が高いので、よほどのことがない限り財務的には問題ありません。固定資産が多いのは、ケーブル網を持つ通信業界ならではですね。

配当性向/DPS

毎期連続増配を達成していますが、増配ペースはかなり緩やかです。

配当性向も100%に近い数値なので、増配余力があまりありません。タイム・ワーナー買収による相乗効果がどこまで出るかで違ってくるかもしれませんが、増配ペース的には変わらないでしょうね。

キャッシュフロー

設備投資と企業買収で、常に投資キャッシュフローはマイナスです。

反面、営業キャッシュフロー獲得能力が高いので、毎期フリーキャッシュフローを確保できています。キャッシュフローマージンも、20%台と高い数値で安定。

通信業界の場合、寡占事業なので大手は非常に高い利益率を達成できます。日本でもNTTドコモ・AU・ソフトバンクがCMバンバン流していますが、あれも寡占業態で高利益を独占している結果です。通信業界大手は、現状儲かります。

自民党の菅官房長官が、記者会見で苦言を言うのも分かりますね。

主要数値

主要数値として、売上・純利益・営業キャッシュフロー・キャッシュフローマージンをあげています。現金派なので、キャッシュフロー計算書を中心に見ています。

キャッシュフローマージン(売上高/営業キャッシュフロー)が、25%付近と利益が高い商売をしています。

当期純利益よりも営業キャッシュ・フローが常に高く、優良企業のお手本ですね。

現状、通信設備というインフラが高い参入障壁になって、高利益を生み出しています。5Gの世代になれば、IOT等でより一層重要性は増すはずです。

リスク

5Gへの移行遅れ

第5世代(5G)移動通信方式のネットワークは、各通信設備会社の急務となっていますが、投資額もかなりの金額になっています。米通信業界全体で必要な投資額が、年間2,000億~3,000億ドルとも言われています。

こういう新規格が普及し始めるときは、各社コストが収益に見合わない状態がしばらく続く可能性が高くなります。4Gからの利益をつぎ込むのでしょうが、長い期間移行が遅れると財務圧迫要因になりかねません。

多角化するのもいいですが、5G対策をシッカリ打ち出せるかが、これからの米大手通信事業者の浮沈がかかってくるでしょう。

多角化の失敗

Tは、2015年移行メキシコ携帯キャリア・ディレクTV・タイムワーナーと矢継ぎ早に買収を行いました。

米国内の停滞を外に求めての買収なので、今のところ問題は無いと判断しています。ただし、多角化は失敗のリスクもつきまとうので、その辺は注視したいところです。

財務的には、高い営業キャッシュフローがあるので、今のところ問題ないと考えています。

チャート

5年チャートですが、近年株価が上昇して、調整というパターンを描いています。

200日移動平均線の下32ドル切るくらいの価格が、比較的買いやすい価格帯です。

現状の33ドル付近で、額面5.9%超の高配当利回り。

暴落きたら、2014年の26ドル付近までストンと落ちるかもしれませんが、そこまでいったら額面7.6%でかなりのお買い得品になりそうです。

まとめ

まとめておきます。

AT&Tまとめ
 
  • AT&Tは、米国の大手通信事業者。AT&T(T)との2強
  • メキシコ携帯キャリア、ディレクTV、タイムワーナーと買収攻勢中
  • 1億3千万人以上の加入者、世界最大級IPネットワーク
  • 高いキャッシュフローマージン・キャッシュフロー獲得能力
  • 33年増配、配当性向の関係からも微増増配が続きそう
  • 目先33ドルまで付近で配当利回り(額面)5.9%

通信業界は、成長力が無いと判断されて、安い値段で放置されています。私は、潜在的な成長力はあると判断しています。キャッシュ自体はうなるほどあるので、設備投資・買収等に湯水のようにお金を注げます。

寡占事業で参入障壁が比較的高い(MVNOがありますが、設備をどうしても借りないとダメ)状況です。

政治的介入が過度に過ぎなければ、10年後でも安泰ではないでしょうか。

Amazon・Google辺りが、一気に設備投資してきたら分かりませんが、来るかなぁ?

企業名(リンク先は銘柄分析)ティッカー業種主要製品
アッヴィABBVヘルスケアヒュミラ
International Business MachinesIBMIT汎用大型コンピュータ、クラウド
ジョンソン・アンド・ジョンソンJNJヘルスケアイブルニチブ、レミケイド、ステラーラ他
アルトリア・グループMO生活必需品(タバコ)マルボロ
ペプシコPEP生活必需品ペプシコ
フィリップ・モリスPM生活必需品(タバコ)マルボロ
プロクター&ギャンブルPG生活必需品アリエール
AT&TT通信4G(5G注力中)
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信4G(5G注力中)
エクソン・モービルXOMエネルギー原油・シェールガス
米国株
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