引用:VZIR
米国株式の銘柄分析をします。
今回は、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)です。
ベライゾン・コミュニケーションズ概要
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)と言えば、AT&T(T)とシェアを2分する大手電気通信事業者です。
電気通信事業と言えば、昔は固い花形業種でしたが、今や主導権をIT大手(グーグル・アマゾン等)に取って変わられ、通信網提供会社に成り下がってしまいました。
通信業界は、昨今のスプリント・Tモバイル合併交渉・AT&Tのタイム・ワーナー買収劇と業界の縦・横の再編が激しい業界になっています。
ベライゾンも負けず劣らずで、積極的に買収を行っています。
・2013年にボーダフォンとの合弁事業ベライゾン・ワイヤレス1,300億ドルで買取り
・2015年AOL44億買収
・2017年米Yahoo!を45億ドルで買収等々積極的に買収
各社現在のアドバンテージ(高いキャッシュフローマージン・キャッシュ獲得能力)を次世代の種まきに使用しています。上手いこといくかどうかは、神のみぞ知るです。
本業は実物資産(世界最大級IPネットワーク)無形資産(1億1千万人以上の加入者)共堅調です。MVNO等の割安回線業者が存在して、顧客離れもありますが、一定数のユーザーの囲い込みは成功しています。
第5世代通信網(5G)が成立普及すれば、IOT・自動運転等データ通信量が爆発的に増える可能性が高いので、大化けするかもしれません。
業種別売上
引用:VZIR
アニュアルレポートから、連結売上ベースの事業割合部分を引用しています。
ワイヤレス部門(無線):ワイアライン部門(有線)=3:1くらいの割合です。ほぼ米国内専業です。
業績
売上/粗利/純利益・営業利益率
売上が良い意味で横ばい、悪い意味で停滞微減しています。
営業利益率が20%台に乗っているので、事業的には美味しい部類ですが、他社との市場争いが激しく、常に投資し続ける必要がある事業です。
逆に言うと投資し続けて、これだけの利益を残せているので、典型的な寡占市場になっているとも言えます。
そのため、大規模な再編が何度も噂に出てきては消えますし、合併するとなると政府から横槍(独禁法違反)がきて潰れたりしています。
貸借対照表
自己資本も17%と低いです。度重なる買収により自己資本が圧縮されてしまっています。ただし、現状高いキャッシュフロー獲得能力があるので、切羽詰まった感じはありません。
固定資産が多いのは、通信インフラ事業なので仕方ありません。買収した無形固定資産分(のれん等)に関しては、評価は今からと言った所でしょうか。
配当性向/DPS
連続増配33年連続増配銘柄
配当が右肩上がりの綺麗なグラフです。ただし、配当伸び率的には物足りません。
意地でも連続増配するという感じではあるので、現状のキャッシュ獲得能力は衰えなければ減配は無いのではないでしょうか。
キャッシュフロー
2016年から営業キャッシュフローが下がっていますが、繰延税金の関係が大きいみたいですが、詳細な理由が分かりません。
キャッシュフローマージンは下がってきていますが、20%台を死守といった所でしょうか。
投資キャッシュフローに半分程度もっていかれるので、フリーキャッシュフローも着実にプラスですが、厳しい状況です。
インフラ事業なので、急激に下がる可能性は低いですが、常に注視する必要がある銘柄です。
主要数値
主要数値として、売上・純利益・営業キャッシュフロー・キャッシュフローマージンをあげています。現金派なので、キャッシュフロー計算書を中心に見ています。
キャッシュフローマージン(営業CF/売上高)は20%台と競争優位性が高く、純利益以上に営業キャシュフローが上回っています。
これだけ見ると順調ですが、売上鈍化とFCF獲得能力が低下しているのが気になります。
リスク
買収リスク
2年毎にベライゾン・ワイヤレス、AOL、米Yahooと買収を続けていますが、本業のベライゾン・ワイヤレス以外の買収メリットが非常に見えにくいです。
この業界1・2位のグーグル、アマゾンに対向してという事なら、スピードが遅い感じがしますし、確実に負け組感が漂っています。
本当にここで勝負して勝てるのか?という問いに明確な答えが出ていない状況です。
5G問題
ベライゾンだけではなく、どこの通信事業者も次世代通信企画(5G)投資に余念がありません。
ビックデータ・IOT・自動運転等実現すればデータ通信量が大幅アップし、5G特需が来るかもしれません。逆に普及が遅れた場合、先行コスト(敷設費用)ばかりかかることになります。
お荷物になるのか起爆剤となるか不透明な部分ではありますが、ここで出遅れたら致命的なので投資合戦は続くことになります。
チャート
5年チャートですが、ここ3年は40-50ドルまでの狭いレンジ内に収まったチャートです。
目先の抵抗ライン200日移動平均線45ドル付近が下限に見えます。
そこを抜けると40ドルが次の抵抗線でしょうか。
40ドルまで我慢できるなら十分報われそうですが、それがいつか分かりません。
5Gブレイクor確率は低いですが、買収企業とのクロスセル・アップセルが成功すれば、上値も試せそうですが、まだ時間はかかりそうですね。
まとめ
まとめておきます。
・ベライゾンは、米国の大手通信事業者。AT&T(T)との2強
・ベライゾン・ワイヤレス、AOL、米ヤフーと買収攻勢中
・1億1千万人以上の加入者、世界最大級IPネットワーク
・先行者利益による高いキャッシュフローマージン率・キャッシュフロー獲得能力
・33年増配、配当性向の関係からも微増増配が続きそう
・目先45ドルまで下落なら配当利回り(額面)5.2%
日本の通信事業業者(ドコモ・AU)もそうですが、安定低空飛行利益水準は高いというのがイメージとしてありますね。
良い意味で安定感がある・悪い意味で低成長から抜け出せない状況です。
そのため、他社買収を仕掛けるのですが、AT&Tのタイム・ワーナー買収よりもVZのAOL、米Yahoo買収のが色々残念さ加減はあるのですが、どうなんでしょうね。(AT&Tのタイム・ワーナー買収は訴訟中で、2018年6月12日結審→垂直統合認められました)
企業名(リンク先は銘柄分析) | ティッカー | 業種 | 主要製品 |
---|---|---|---|
アッヴィ | ABBV | ヘルスケア | ヒュミラ |
International Business Machines | IBM | IT | 汎用大型コンピュータ、クラウド |
ジョンソン・アンド・ジョンソン | JNJ | ヘルスケア | イブルニチブ、レミケイド、ステラーラ他 |
アルトリア・グループ | MO | 生活必需品(タバコ) | マルボロ |
ペプシコ | PEP | 生活必需品 | ペプシコ |
フィリップ・モリス | PM | 生活必需品(タバコ) | マルボロ |
プロクター&ギャンブル | PG | 生活必需品 | アリエール |
AT&T | T | 通信 | 4G(5G注力中) |
ベライゾン・コミュニケーションズ | VZ | 通信 | 4G(5G注力中) |
エクソン・モービル | XOM | エネルギー | 原油・シェールガス |
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