・ご褒美で釣っても「よい」
・ほめ育てしては「いけない」
・ゲームをしても「暴力的にはならない」
P.3
人間はだませてもデータはだませない
P.7
著者中室牧子さんは、教育経済学者です。
教育経済学は、教育を経済学の理論や手法を用いて分析する応用経済学の一分野です。
経済学というのは、理論経済を学びます。応用分野である教育経済学は、「データ」の積み重ねを重視し、経済学理論・手法を使って分析する学問です。
膨大な実験の「データ」結果として、冒頭のような結論を導きだしてるわけです。
ご褒美で釣ったり、ほめ育てしてはいけないとか、あまり聞いたことがありません。逆はよく聞きますが、「データ」を調べれば一目で分かる事項だそうです。
そんな「学力」の経済学から、子供教育時にやりそうな注意したい3点をご紹介します。
インプットよりもアウトプット重視でごほうびを出す
学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子供達だったのです。
P.35
冒頭文は、『テストでよい点を取る』のは、アウトプット(テストの点数)・インプット(本を読む・宿題をする)どちらにご褒美を与えた方が結果が良くなるのか?という実験の結果です。
やりがちなのは、「今度のテストで○○点取ったら、○○買ってあげる」というアウトプット重視の一言。これダメです。
何故なのか?
どうすれば学力を上げられるるのかが、彼ら自身にわからないのです。
P.36
上げ方が分からないのに、人参をぶら下げても意欲がわきません。
そのため、成果がわかりやすいインプットに与えた方が結果が良くなるという理屈です。
言われてみれば分かりますが、キチンと理解していないとかなりの確率でアウトプットにご褒美をぶら下げますね。
能力をほめる
「能力をほめることは、子どものやる気を蝕む」
P.51
では何をほめるのか?著者は、『努力』をほめなさいと指摘しています。
何故能力をほめてはいけないのか?
能力をほめられた子ども達は、悪い成績を取ったとき「自分は才能がないからだ」と考える傾向があったことがわかっています。〈中略〉
努力をほめられた子ども達は、悪い成績を取っても、それは「努力が足りないせいだい」と考えたようです。
P.51
データを元にした結論を書かれているので、説得力がありますね。
「勉強しないさい」と言う
お手軽なものに効果はない
P.60
まぁやはりというか当たり前というか、「勉強しないさい」と言うだけではダメだそうです。
これも多くの親がやっていることですよね。ドラマとかでも嫌っていうほど見るシーンです。
「勉強を見ている」または「勉強する時間を決めて守らせている」という、親が自分の時間を何らかの形で犠牲にするのは効果が高い
P.60
当然ですよねーと言いたい所ですが、これが本当にできるのか?という問題が発生します。
そういった際の一つの答えとして、部分的に何らかの『助っ人(塾・家庭教師他)』を頼んでも良い結果が出ると書かれています。
まとめ
子供教育にやりそうな注意したい3点をまとめます。
- アウトプットよりもインプット重視
- 能力をほめず、努力をほめる
- 「勉強しなさい」と言うのではなく「勉強を見る」
先ほどの見出しでは逆に書いていますが、正しくはこちらを実践して下さい。
どれも言われれば当然こちらを選択するんでしょうが、客観的にデータで見るということはしないので、ついつい逆選択しがちな項目ばかりです。
科学的にご自身の教育理念を再確認するのに絶好な1冊です。
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