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死んだ投資家が一番成績良い説|ログインしない投資法のすすめ

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死んだ投資家が一番成績良い説|ログインしない投資法のすすめ

結論:「何もしない」ことが最強の投資戦略

投資で成功したいなら、証券口座のログインパスワードを忘れてしまえばいい。これが、数々の学術研究と統計データが示す皮肉な真実です。

カリフォルニア大学のBrad BarberとTerrance Odeanによる研究では、66,465世帯を6年間追跡した結果、驚くべき事実が明らかになりました。

最も頻繁に取引する投資家は、最も取引しない投資家と比較して、年間約7%もパフォーマンスが劣るのです。7%という数字は、20年、30年という長期で複利計算すると、資産に数倍の差を生みます。

さらに衝撃的なのは、S&P Dow Jones IndicesのSPIVA統計です。15年以上の期間で見ると、すべてのカテゴリーにおいて、過半数のプロのファンドマネージャーがベンチマークを下回ります。

最高の教育を受け、フルタイムで投資に専念するプロですら、シンプルなインデックスファンドに勝てないのです。

投資の成功に必要なのは、卓越した才能でも並外れた努力でもありません。必要なのは、低コストのインデックスファンドを購入し、自動積立を設定し、あとは放置すること。ただそれだけです。

Fidelityの伝説と科学的真実

ウォール街には、ある有名な都市伝説があります。大手金融機関Fidelityが顧客口座のパフォーマンスを分析したところ、最高のリターンを記録していたのは「死亡した投資家」または「口座の存在を忘れていた投資家」だったというのです。

この話は2003年から2013年のパフォーマンスレビューで明らかになったとされ、Bloomberg Radioでの会話を通じて投資コミュニティに広まりました。実際、Fidelityはこの公式研究の存在を否定しています。つまり、これは都市伝説です。

しかし、Morningstarのアナリストが指摘するように「一般的な概念は健全」です。なぜなら、この伝説が伝える本質、すなわち放置投資の優位性は、数々の学術研究によって科学的に裏付けられているからです。

Morningstarの調査では、最も頻繁に取引した投資家は市場パフォーマンスから取引コストを引いた程度の成績に留まった一方、ほとんど口座に触れなかった投資家は市場リターンにほぼ近い成績を残しました。

この伝説が示す真実は明確です。投資家が口座にログインしなければ、感情的な判断もなく、高額な取引コストも発生せず、最悪のタイミングでの売買もありません。

結果として、市場の長期的な上昇トレンドをそのまま享受できます。

統計が証明する「頻繁取引の罠」

Barber とOdeanの革命的研究は、大手ディスカウント証券会社の協力を得て、1991年から1996年にかけて66,465世帯の取引記録を詳細に分析しました。その結果は、投資の常識を覆すものでした。

個人投資家は、低コストのインデックスファンドなどのベンチマークと比較して、一貫してアンダーパフォームしていました。しかも、取引が頻繁な投資家ほど、パフォーマンスの劣化が顕著でした。

投資家を取引頻度で5つのグループに分けて分析したところ、最も頻繁に取引するグループは、最も取引が少ないグループと比較して、年間約7パーセントポイントも低いリターンしか得られていませんでした。

さらに興味深いのは、ジェンダー間の差異です。男性投資家は女性投資家よりも45%多く取引する傾向があり、その結果、女性投資家は男性投資家よりも年間1%高いリターンを獲得していました。この1%の差は、長期で見ると膨大な資産の差を生みます。

プロの世界でも状況は同じです。2024年のSPIVA米国スコアカードによれば、大型株アクティブファンドの65%がS&P500指数をアンダーパフォームしました。

10年間で見ると84%が、15年間ではすべてのカテゴリーで過半数がベンチマークを下回りました。例外は一つもありませんでした。

Morningstarの2024年Active/Passive Barometerも同様の結論を示しています。アクティブファンドの42%のみがパッシブファンドを上回り、10年間では成功率が4分の1未満に低下します。

これらの統計が示すメッセージは明確です。最高の教育を受け、最新の情報にアクセスでき、フルタイムで投資に専念するプロのファンドマネージャーでさえ、単純なインデックスファンドを長期的に打ち負かすことはほぼ不可能なのです。

オーバーコンフィデンスという病

投資家が過剰に取引してしまう最大の理由は、行動経済学が「オーバーコンフィデンス・バイアス」と呼ぶ認知の歪みです。これは、自分の能力、知識、判断力を客観的事実以上に高く評価してしまう心理的傾向です。

アメリカ自動車協会の調査によれば、73%のアメリカ人が自分を「平均以上のドライバー」と考えています。これは統計的に不可能です。投資の世界でも同じ現象が起きます。FINRAの研究では、64%の投資家が自分の投資知識を高く評価したが、実際の投資知識クイズでは低得点でした。

オーバーコンフィデンスは、いくつかの関連バイアスによって増幅されます。コントロールの錯覚は、実際にはコントロールできない市場の動きに対して、自分が影響力を持っていると信じ込む傾向です。

知識の錯覚は、情報量が増えれば予測精度が向上すると誤信する傾向です。現代の投資家はリアルタイムの株価情報やアナリストレポートなど、かつてない量の情報にアクセスできます。しかし、情報量の増加は必ずしも判断の質を向上させません。

Barber とOdeanの研究によれば、より多くの知識を持つ投資家ほど過信が強まり、取引頻度が増加する傾向があります。知識は、適切に使われなければ、武器ではなく負債となります。

投資家が犯すもう一つの典型的な誤りは「処分効果」です。これは、含み益のある銘柄を早く売却し、含み損のある銘柄を長く保有してしまう傾向です。

ノーベル経済学賞を受賞した心理学者Daniel Kahnemanの研究によれば、人間は損失の苦痛を利益の喜びよりも約2.5倍強く感じます。そのため、含み損を確定することを心理的に避け、負けている投資を持ち続けてしまうのです。

結果として、投資家のポートフォリオは成長性の低い銘柄で占められ、優良な銘柄は手元に残りません。伝説的なファンドマネージャーPeter Lynchは、これを「花を切って雑草に水をやる」と表現しました。

取引コストという見えない敵

多くの投資家は取引コストを軽視しています。しかし、この小さな数字が長期的には膨大な資産の差を生みます。

アクティブポートフォリオマネージャーの典型的なコスト構造では、証券会社への手数料が約0.20%、ビッド・アスク・スプレッドと市場インパクトコストが約0.55%、合計で一回の取引あたり0.75%のコストがかかります。

ポートフォリオの回転率が80%の場合、売却と購入はセットなので実際には160%分の取引が発生し、年間の取引コストは 1.6 × 0.75% = 1.2% となります。これに運用手数料0.3%を加えると、年間コストは1.5%に達します。

一方、パッシブインデックスファンドの経費率は0.03%程度です。年間1.5%の差は小さく見えるかもしれませんが、30年間の投資期間で考えると話は全く異なります。

100万円を年率7%で30年間運用すると約761万円になります。しかし、年率5.5%(7% - 1.5%のコスト)で運用すると約505万円にしかなりません。実に256万円、元本の2.5倍以上の差が生じます。

税金コストも大きいです。米国では、1年未満の保有で得た利益は最高税率37%が適用されますが、1年以上保有した後の利益は最高でも20%です。

日本でも約20%の税率が適用されますが、頻繁に売買すると、その都度利益が課税対象となります。一方、長期保有すれば税金の支払いを将来に先送りでき、その分のお金も運用に回すことができます。

取引コストには、もう一つ重要な要素があります。機会費用です。Barber とOdeanの研究では、投資家が売却した株は、その後平均的に、購入した株よりも良いパフォーマンスを示しました。

つまり、投資家は「悪い取引」をしているのです。短期的なニュースやノイズに反応して売買判断を下しますが、短期的なニュースの多くは長期的な企業価値にほとんど影響を与えないからです。

インデックス投資という勝者の戦略

放置投資の最も強力な武器が、インデックス投資です。S&P500は米国の大型株500社で構成される株価指数ですが、この指数は過去数十年にわたって驚異的なパフォーマンスを示してきました。過去50年間のインフレ調整後の平均年間リターンは約7%。これは、資産が約10年で2倍になる計算です。

具体的な数字で見ると、1993年に10万ドルをS&P500に投資した場合、10年後の2003年には約28.6万ドル、30年後の2023年には180万ドルを超えます。元本の18倍です。

この期間には2000年のドットコムバブル崩壊、2008年の金融危機、2020年のコロナショックがありました。それぞれの危機で多くの投資家がパニックに陥りましたが、ただ保有し続けた投資家は、すべての危機を乗り越え、最終的に大きな資産を築きました。

バイ&ホールド戦略の威力は、2008年の金融危機を例に考えるとわかりやすいです。

2008年1月1日に1,000ドルをS&P500に投資すると、年末には630ドル(-37%)になります。ここで630ドルを普通預金口座(年利3%)に移すと、元の1,000ドルに戻るまでに16年かかります。

一方、バイ&ホールド投資家は2012年に損失を完全に回復し、2020年には約2,500ドルになりました。その差は歴然としています。

市場タイミングの危険性を示すデータもあります。J.P.Morganの研究によれば、過去20年間で、S&P500のベスト10日のうち7日が、ワースト10日から2週間以内に発生しています。

Hartford Fundsの分析では、過去30年間で市場のベスト10日を逃すと、リターンは半減します。そして、そのベスト10日の80%近くは、弱気相場またはリバウンドの初期2ヶ月間、つまり最も恐怖が支配する時期に発生しています。

このベスト10日を事前に予測することは不可能です。唯一の解決策は、常に市場に居続けることです。これが「時間を市場で過ごす(time in the market)」の意味であり、「市場のタイミングを計る(timing the market)」よりも遥かに重要な理由です。

日本の個人投資家の厳しい現実

日本の個人投資家の状況はさらに厳しいです。ヘッジファンドダイレクト株式会社が2012年に実施した調査では、累計投資金額が300万円以上の個人投資家1,000人を対象に調査した結果、通算損益でマイナスの投資家が72.4%に達しました。

利益を出している投資家は、わずか20.6%に過ぎません。平均損失額は525万円。メルセデスベンツCクラス1台分の金額を失っている計算です。

投資信託の平均損益率はマイナス30.7%。3割も資産を減らしています。株式投資でも、7割の投資家が失敗し、多くが半値以下になっていました。野村證券のノムラ個人投資家サーベイでも、約10人に1人しか利益を上げておらず、10人に6人が損をしていることが明らかになりました。

興味深いことに、この失敗率は米国とほぼ同じです。米国の調査でも、利益を上げていた投資家は11.5%、70%の投資家が損失を出していました。日米ともに、約10人に1人しか投資で利益を上げられません。

日本の個人投資家が負ける理由は、投資知識の不足、過剰な取引、感情的な判断という個人投資家自身の問題、高コストで複雑な金融商品を提供する運用会社の問題、回転売買を推奨し手数料を優先する販売会社の問題という3つに分類できます。

しかし、これらの問題のほとんどは、低コストのインデックスファンドを購入し、長期保有するという単純な戦略で回避できます。

「何もしない」を実践する5つのステップ

放置投資を始めるための具体的な方法を5つのステップで解説します。

ステップ1:低コストインデックスファンドを選ぶ。日本で購入できる優れたインデックスファンドとしては、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、SBI・V・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドなどがあります。

これらのファンドは信託報酬が0.1%以下と非常に低コストで、S&P500や全米株式市場の動きに連動します。重要なのはコストです。信託報酬が0.05%のファンドと0.5%のファンドでは、30年間で数百万円の差が生じます。また、つみたてNISAやiDeCoといった税制優遇制度を最大限活用すべきです。

ステップ2:自動積立を設定する。毎月一定額を自動的に投資する設定をします。金額は無理のない範囲で構いません。月1万円でも、3万円でも良いです。

重要なのは、継続できる金額を設定し、それを自動化することです。自動積立の素晴らしさは、あなたの意志の力に頼らないことです。

人間の意志は弱いものです。市場が暴落すれば恐怖で買いたくなくなりますし、市場が過熱すれば欲望でもっと買いたくなります。しかし、自動積立はそうした感情を無視し、機械的に、規則的に、淡々と投資を続けます。

ステップ3:ログインしない、見ない、触らない。自動積立を設定したら、あとは何もしません。証券口座にログインしない。株価をチェックしない。

ポートフォリオの評価額を見ない。経済ニュースに一喜一憂しない。ただ、放置します。どうしても気になるなら、ログイン頻度を制限します。年に1回、あるいは四半期に1回だけ確認します。それ以外の時は、投資のことを完全に忘れます。重要なのは、短期的な市場の変動に反応しないことです。

ステップ4:リバランスは年1回まで。完全に放置することが理想ですが、ある程度のメンテナンスは必要かもしれません。それがリバランスです。しかし、リバランスも頻繁に行うべきではありません。

多くの研究が示すように、リバランスの最適頻度は年1回程度です。月次や四半期ごとのリバランスは取引コストを増やし、パフォーマンスを悪化させる可能性があります。

ステップ5:長期視点を持ち続ける。投資は少なくとも10年、できれば20年以上の長期で考えるべきです。短期的には市場は予測不可能ですが、長期的には市場は経済成長を反映し、着実に上昇してきました。

歴史的に見て、S&P500は20年以上の期間でマイナスになったことはありません。長期視点を持つということは、短期的な損失を受け入れるということでもあります。市場は定期的に下落しますが、これらはすべて一時的です。

著名投資家が説く放置の哲学

世界最高の投資家ウォーレン・バフェットは、一貫して個人投資家に「低コストのS&P500インデックスファンドを買い、長期保有しなさい」とアドバイスしています。

バフェットは自身の遺言でも、妻のために残す資産の90%をS&P500インデックスファンドに投資するよう指示しました。バークシャー・ハサウェイを築いた伝説的投資家が、最愛の妻のためにアクティブ運用ではなくインデックス投資を選んだという事実は、極めて示唆に富みます。

バンガード社の創業者ジャック・ボーグルは、インデックスファンド投資の父と呼ばれます。彼が1975年に世界初の個人向けインデックスファンドを設立した時、ウォール街は嘲笑しました。

しかし、ボーグルは正しかったのです。彼のシンプルな洞察、すなわち「低コストで市場全体に投資すれば、ほとんどのアクティブファンドを長期的に上回る」という考えは、数十年の実績で証明されました。

ボーグルは「何かをするな、ただそこに立っていろ」とアドバイスしました。投資においては、行動しないことが最善の行動なのです。

バフェットの長年のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガーも同様の哲学を持っていました。

「投資の秘訣は、正しく行動し、その後は何もしないことだ」とマンガーは語りました。この「何もしない」という部分が、多くの投資家にとって最も難しいです。しかし、それこそが成功の鍵なのです。

まとめ:死んだ投資家から学ぶ教訓

投資の世界の数十年の研究と膨大なデータが示す真実は、驚くほどシンプルです。最も優れた投資パフォーマンスを達成するのは、何もしない投資家です。

  • 頻繁な取引は富を破壊します。最も頻繁に取引する投資家は、最も取引しない投資家より年間約7%もパフォーマンスが劣ります
  • プロでさえ市場を打ち負かせません。15年以上の期間で見ると、すべてのカテゴリーで過半数のプロがベンチマークを下回ります
  • 感情は投資家の最大の敵です。恐怖で底値で売り、欲望で天井で買うパターンを繰り返す限り、成功はありません

投資で成功するために、複雑な戦略も高度な知識も絶え間ない努力も必要ありません。必要なのは、低コストのインデックスファンドを購入し、自動積立を設定し、長期保有することだけです。これ以上シンプルな戦略はありません。しかし、このシンプルさこそが、長期的に最も優れたリターンを生みます。

あなたは今日から、この戦略を実践できます。

低コストのインデックスファンドを選び、自動積立を設定し、あとは放置します。毎日株価をチェックする必要もありません。経済ニュースに右往左往する必要もありません。ただ、生活を楽しみ、仕事に集中し、家族や友人との時間を大切にすればいいのです。

20年後、30年後、あなたの口座には複利の力によって膨らんだ資産が待っているでしょう。その時、あなたは気づくはずです。投資で成功するために必要だったのは、卓越した才能でも並外れた努力でもなく、忍耐と何もしない勇気だけだったのだと。

死んだ投資家が最高のパフォーマンスを達成します。これは皮肉な真実ですが、あなたはまだ生きています。生きているうちに、死んだ投資家の戦略を実践できます。

さあ、今日から「何もしない投資家」になりましょう。口座を開設し、自動積立を設定したら、あとはログインパスワードを忘れてしまえばいいのです。それが、あなたの富を最大化する最も確実な方法なのですから。

投資
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