はじめに:ニュースを読んでも、正直よく分からない
――ややこしすぎる制度の中で、私は何を考えたか
2026年税制大綱が決まった、というニュースを見た。
「年収の壁が178万円に引き上げ」「働き控えの解消」「中間層支援」——
言葉だけを見ると、いかにも“良さそう”に聞こえる。
だが、正直なところ、私はこう思った。
で、結局これは誰にとって、どれくらい得なのか?
自分の年収帯に当てはめてみても、
「関係あるような、ないような」「得しているのか、していないのか分からない」
そんなモヤっとした感覚が残った。
この記事では、
制度を完璧に解説することよりも
一人の生活者・働く人間として、この税制をどう受け止めたか
を、できるだけ正直に書いてみたい。
第1章:「年収の壁」は、なぜこんなにややこしいのか
まず前提として、
多くの人が混乱する最大の理由はこれだ。
「年収の壁」は一つではない
壁は“複数”存在する
代表的なものだけでも、これだけある。
- 住民税の壁
- 所得税の壁
- 配偶者控除・扶養控除の壁
- 社会保険加入の壁(106万円・130万円など)
しかも、
- 税金の壁
- 社会保険の壁
- 企業規模や働き方による壁
が別々のロジックで存在している。
これを普通の人が直感的に理解するのは、正直かなり無理がある。
「働いたら損する」構造が生まれる理由
本来、税制はこうあるべきだと思う。
多く働けば、手取りは必ず増える
ところが現実は、
- あるラインを超えると、
- 税金や社会保険料が一気に増え、
- 手取りが思ったほど増えない、場合によっては減る
こうした現象が起きる。
これが「働き控え」という行動を生む。
制度が人の行動を歪めている、典型例だと思う。
第2章:税制は「簡素」であるべきだと思う理由
私は、この手の制度を見るたびに強く思う。
税制は、シンプルであるべきだ
複雑な制度は、必ず破綻する
これは感情論ではない。
歴史を見ても、制度設計論を見ても、かなり普遍的な話だ。
- 複雑な制度は
- 解釈コストが高く
- 運用コストが高く
- 不公平感を生みやすい
結果として、
- 制度への不信
- ルールを守る人が損をする構造
- 抜け道を探す人が得をする構造
を生む。
税制が“説明できない”時点でアウト
もう一つ、個人的に重要だと思っている基準がある。
「中学生に説明できない税制は、失敗している」
今の年収の壁を、
図も使わず、前提知識なしで説明できるだろうか。
たぶん、かなり難しい。
これは制度が悪いのではなく、
設計思想が“継ぎ足し・継ぎ足し”になっていることの弊害だと思う。
第3章:2026年税制大綱で、誰が恩恵を受けるのか
今回の税制改正でよく言われるのが、
「年収178万円まで所得税がかからない」
という点だ。
これは確かに、
年収665万円以下の層にとっては一定の恩恵がある。
年収665万円というライン
給与所得控除・基礎控除などを考えると、
今回の改正による直接的な減税効果が及ぶのは、
おおむね 年収665万円以下と言われている。
裏を返せば、
年収665万円を超えると、ほぼ直接的な恩恵はない
ということになる。
私自身の正直な感情
正直に書くと、
- 「あ、やっぱり自分は対象外か」
- 「また関係ない話だな」
という気持ちが一瞬よぎった。
これは、多くの“中間より少し上”の層が
感じた感情ではないだろうか。
第4章:それでも「意味がない」とは思わなかった理由
ただし。
ここで思考を止めてしまうのは、少し短絡的だとも思った。
間接的な恩恵という考え方
今回の改正で支援されるのは、
- パート・アルバイト層
- 共働き世帯の調整層
- これまで「壁」を気にして働けなかった人たち
だ。
彼らが、
- 働く時間を増やし
- 収入を増やし
- 消費を増やす
としたら?
回り回って、誰の収入になるのか
消費が増えれば、
- 企業の売上が増える
- 事業が回る
- 雇用が安定する
結果として、
年収665万円以上の層の収入にも、間接的に寄与する可能性がある
私は、ここに今回の税制の“意味”を見出した。
第5章:日銀の利上げと、税制の裏テーマ
もう一つ無視できないのが、
日銀の利上げというマクロ環境だ。
- 金利は上がる
- 住宅ローンや借入の負担は増える
- 物価上昇圧力も続く
こうした環境下で、
- 税制だけを引き締める
- 家計負担だけを増やす
という選択は、政治的にも現実的ではない。
今回の税制改正は、
金融引き締め × 財政での部分的緩和
というバランスの一部だと見ることもできる。
第6章:それでも、制度はもっとシンプルにできるはずだ
ただし、やはり思う。
壁が多すぎる
- 税金の壁
- 社会保険の壁
- 扶養の壁
これらが別々に存在する限り、
- 働き方の最適化ゲーム
- 制度ハック
- 無駄な心理的ストレス
はなくならない。
理想を言えば、
「稼いだ分だけ、なだらかに手取りが増える」
ただそれだけの制度にしてほしい。
第7章:国民民主党への期待
今回の「年収の壁」議論をここまで押し上げた背景には、
国民民主党の継続的な主張があったのも事実だ。
- 働く人を基準にする
- 現役世代を重視する
- 分かりやすい言葉で訴える
この姿勢は、少なくとも私は評価している。
完璧ではないが、方向性は重要
すべての政策が完璧である必要はない。
だが、
「どこを向いているか」
は、極めて重要だ。
私は引き続き、
- 年収の壁の整理
- 税と社会保険の一体改革
- 現役世代が報われる制度
に向けて、
国民民主党にはプレッシャーをかけ続けてほしいと思っている。
おわりに:これは「自分の生活の話」だ
税制は、難しい。
専門家でなければ分からない部分も多い。
でも、本質的には、
これは「自分の生活の話」だ
- 働くか、働かないか
- 時間をどう使うか
- 家族とどう暮らすか
すべてに直結している。
だからこそ、
制度を「分からないから放置」するのではなく、
違和感を言葉にすることに意味があると思っている。
この文章も、
誰かの答えになるとは思っていない。
ただ、
「ああ、自分も同じことを感じていた」
そう思ってもらえたなら、
それだけで書いた価値はある。
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