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海外ETF(VTI・VOO)vs国内投資信託|為替手数料と税金を含めた本当のコスト比較

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海外ETF(VTI・VOO)vs国内投資信託|為替手数料と税金を含めた本当のコスト比較

結論:表面的な数字に騙されるな

多くの個人投資家にとって国内投資信託の方が実質的にお得です。

海外ETF(VTI・VOO)の経費率0.03%という数字は魅力的ですが、為替スプレッド、配当の二重課税、確定申告の手間を総合すると、信託報酬0.08%程度の国内投資信託の方がトータルコストは低くなります。

この記事では、カタログスペックだけでは見えない「隠れコスト」を徹底分析します。

海外ETFの3つの隠れたコスト

VTIとVOOは経費率0.03%という圧倒的な低コストで知られています。しかし日本の個人投資家が実際に購入する際には、この数字だけでは測れないコストが発生します。

隠れコスト1:為替スプレッド

2023年末にSBI証券と楽天証券が米ドル為替手数料の無料化を発表しましたが、無料になったのは「手数料」だけです。実際の為替取引では買値と売値の間にスプレッド(価格差)が存在します。

このスプレッドは市場状況により変動し、固定幅ではありません。証券会社は「外国為替市場における業者間レートを採用」しており、買レートと売レートには乖離があります。

長期保有すれば年率換算では小さくなりますが、完全なゼロではない点は認識しておく必要があります。

隠れコスト2:配当の二重課税

海外ETF最大の問題が配当の二重課税です。

100ドルの配当が発生すると、まず米国で10%が源泉徴収され90ドルに。さらに日本で20.315%が課税され、最終的に約71.72ドル。実質税率は約28.3%に達します。

外国税額控除を使えば米国の10%分を取り戻せる可能性がありますが、控除額には所得税額による上限があります。所得が少ない方や配当収入の比率が高い方は控除しきれず、さらに確定申告の手間も発生します。

隠れコスト3:NISA口座での永続課税

新NISA口座で海外ETFを保有すると、配当金に対する米国の10%源泉徴収が永続的に発生します。

NISA口座では国内課税がないため外国税額控除は適用されず、米国で源泉徴収された10%は取り戻せません。配当利回り1.5%のVOOなら、この10%ロスにより実質リターンは1.35%に目減りします。

国内投資信託の3つの優位性

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を例に、国内投資信託のコスト構造を見ていきます。

優位性1:競争による信託報酬の低下

eMAXIS Slim S&P500は2025年1月25日から信託報酬を年率0.07568%〜0.08140%に引き下げました(受益者還元型で純資産額に応じて逓減)。

実質コスト(売買委託手数料等を含む)は決算期ごとに変動するため、最新の運用報告書で確認が必要ですが、海外ETFの0.03%との差は着実に縮小しています。

eMAXIS Slimは「業界最低水準を目指す」と明言し、2018年の0.1%超から継続的に引き下げています。競合との差別化により、海外ETFとのコスト差は確実に縮小中です。

優位性2:自動適用される二重課税調整

2020年1月から始まった二重課税調整制度により、課税口座では投資信託の分配金に対して二重課税調整が自動的に適用されます。投資家は何もする必要なく、確定申告も不要です。

NISA口座では国内課税がないため制度の適用対象外となりますが、国内投資信託の場合はファンド内で発生する外国源泉税分が基準価額に反映されており、投資家が直接10%の配当課税を負担するわけではありません。これが海外ETFとの大きな違いです。

優位性3:手軽さという継続性の価値

国内投資信託は円貨で直接購入でき、為替取引の手間が一切不要。100円から購入でき、自動積立設定で毎月自動買付が可能です。

「最も優れた投資戦略は、実行し続けられる投資戦略」という投資の格言があります。

理論的に優れていても、手間がかかりすぎて続かなければ意味がありません。国内投資信託の手軽さは、継続性という観点で大きな価値です。

実際のコスト比較シミュレーション

NISA口座で年間120万円×20年積立

新NISAのつみたて投資枠で年平均リターン7%を想定した場合:

海外ETF(VOO):経費率0.03% + 配当への米国課税10%(外国税額控除不可)= 実質コスト約0.18%

国内投資信託(eMAXIS Slim):実質コスト約0.09%、配当への追加課税なし

20年間でこの差は最終資産額で約15万円の差として現れます。NISA口座なら国内投資信託が明確に有利です。

課税口座で1000万円一括投資

海外ETF:外国税額控除を活用できる高所得者なら実質コスト約0.06~0.10%(確定申告の手間あり)

国内投資信託:実質コスト約0.09%、二重課税調整が自動適用、確定申告不要

年間コスト差は数千円程度。確定申告の手間を考えると微妙なラインです。

新NISA制度での実践的選択

新NISAではつみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を併用できます。

つみたて投資枠は国内投資信託一択

金融庁認定の投資信託が対象で、eMAXIS Slim S&P500、SBI・V・S&P500、楽天・プラス・S&P500など信託報酬0.08%前後の優良ファンドが揃っています。自動積立対応で円貨購入可能。つみたて投資枠との相性は抜群です。

成長投資枠も国内投資信託を推奨

成長投資枠では海外ETFも購入可能ですが、配当への米国課税10%は避けられません。長期的には、この配当課税ロスが経費率の差を上回るため、成長投資枠でも国内投資信託を推奨します。

海外ETFを検討してもよいのは、投資に慣れた方、確定申告を毎年行う高所得者、数千万円規模の投資を行う方に限られます。

見落としがちな重要ポイント

為替リスクは同じ

「海外ETFなら為替リスクが小さい」は誤解です。国内投資信託も実際には米国株式に投資しているため為替リスクは同じ。円高ならどちらも下がり、円安ならどちらも上がります。

パフォーマンス差は誤差レベル

同じS&P500連動商品なら長期パフォーマンスの差は年率0.1%未満の誤差レベル。為替タイミングや再投資方法の違いによるもので、本質的な優劣ではありません。

まとめ:あなたに最適な選択

多くの個人投資家にとって国内投資信託が最適です。 以下に該当する方は迷わず国内投資信託を選びましょう:

投資初心者や時間をかけたくない方:円貨購入、自動積立が簡単、確定申告不要。投資は手軽に始められ長く続けられることが最重要です。

新NISAつみたて投資枠中心の方:100円単位で購入でき端数の心配なし。月々の積立投資に最適です。

投資額1000万円以下の方:海外ETFとのコスト差は年間数千円程度。確定申告の手間を考えると国内投資信託が合理的です。

一方、投資に慣れた方で為替取引に抵抗がない確定申告を毎年行う高所得者数千万円規模の投資家は海外ETFも選択肢になります。

最も重要なのは「自分にとって続けられる方法を選ぶ」ことです。表面的な数字だけでなく、為替取引の手間、確定申告の負担、そして何より「ストレスなく投資を続けられるか」という視点で選んでください。

どちらを選んでもS&P500という優れた指数に低コストで投資できることに変わりはありません。長期資産形成で最も重要なのは「始めること」そして「続けること」です。完璧な選択を追求するより、今できる範囲で最善の選択をして、一歩を踏み出すことが何より大切なのです。

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