SBI証券完全ガイド:メリット・デメリットから二段階認証問題まで徹底解説

証券会社分析

目次

はじめに

SBI証券は2024年7月にネット証券初の1,300万口座を突破し、個人投資家アンケートでは58%が保有する圧倒的シェアを誇る業界最大手のネット証券です。

しかし、その圧倒的な人気の背景には、知られざるメリットと注意すべきデメリット、そして最近問題となっている二段階認証の課題があります。

この記事では、SBI証券を検討中の方から既存ユーザーまで、知っておくべき情報を包括的に解説します。特に2025年に発生した証券業界全体の不正アクセス問題と、SBI証券の対応状況について詳しく取り上げます。




1. SBI証券の基本情報と圧倒的な実績

業界トップクラスの実績

SBI証券は1,300万口座を突破したネット証券で、2024年のオリコン顧客満足度調査「ネット証券」ランキングでも総合1位を獲得しています。

主要な実績データ:

  • 1日の取引処理:2兆円超、最大1億アクセス・約360万件の処理能力
  • IPO取扱数:業界No.1(2024年3月通期で全新規上場企業の約90.9%を取扱)
  • 投資信託取扱数:2,600本超(業界トップクラス)

SBIグループの総合力

SBI証券は単独の証券会社ではなく、SBIホールディングス傘下の総合金融グループの一員として、銀行・保険・住宅ローンなど幅広い金融サービスを提供しています。


2. SBI証券の主要メリット:他社を圧倒する8つの強み

SBI証券の最大の魅力は、手数料の安さと投資信託・IPO・外国株など、多様な資産に対応できるラインナップです。この章では、他社にはない8つの特徴を具体的に解説します。

2.1 手数料無料化のインパクト

「ゼロ革命」は継続中の画期的施策と評価できます。

2023年9月より開始された「ゼロ革命」により、初期設定を済ませれば国内株式(現物・信用)の売買手数料が完全無料になります。

無料化の条件:

  • インターネットコースまたはインターネットコース(プランC)の利用
  • 3つの電子交付書面設定:①円貨建・米株信用各種報告書 ②外貨建各種報告書 ③特定口座年間取引報告書

無料対象範囲:

  • 現物取引・信用取引
  • S株(単元未満株)取引(主要ネット証券で唯一の完全無料)
  • PTS取引(夜間取引)

新NISA優遇措置

2024年以降のNISA口座では、米国株式・海外ETF(米国・中国・韓国・シンガポール)の売買手数料も無料、さらに米ドル/円リアルタイム為替取引手数料も無料です。

2.2 業界最多レベルの商品ラインナップ

投資の選択肢という点で、他社と比べても圧倒的な水準が導入されています。

投資信託:2,571本

  • つみたて投資枠対象:250本(業界トップクラス)
  • SBI証券限定優良ファンド(SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド等)も提供

外国株式:9カ国対応

  • 取扱国:米国、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア
  • 米国株式:4,500銘柄超(2025年5月時点、業界最多水準)

IPO取扱実績

  • 2024年3月通期:全新規上場企業の約90.9%(90社)を取扱
  • IPOチャレンジポイント制度:落選でもポイントが貯まり、次回以降の当選確率が上がる仕組み

2.3 夜間取引(PTS)対応

PTS取引により8:20-16:00、16:30-23:59の時間帯で取引可能。日中忙しいサラリーマン投資家にとって大きなメリットです。

2.4 豊富なポイントサービス

5種類のポイントに対応:Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALマイル、PayPayポイント

クレカ積立の高還元率

  • 三井住友カードでの積立:最大3.0%のVポイント還元(2024年11月以降)
  • ※プレミアム・プラチナカードなど上位カードでは最大5.0%還元(年間利用額条件あり)
  • 月額10万円まで積立可能(年間120万円)

2.5 あまり知られていない隠れたメリット

25歳以下優遇制度
25歳以下は現物取引手数料0円プログラムが自動適用(申込不要、26歳誕生日前日まで)

独自ツール「SBIヒートマップPlus」
過去の任意日付を指定して騰落率推移をヒートマップ表示できる機能(主要ネット証券初)

住信SBIネット銀行連携
ハイブリッド預金により即時買付余力反映、コンビニATM入金無料

2.6 高度なIT基盤

AWS完全移行により高い拡張性と安定性を実現(1年4ヶ月で移行完了)。急激なアクセス増にも迅速なキャパシティ拡張が可能


3. SBI証券のデメリット:知っておくべき6つの課題

3.1 アプリの分散による操作性の問題

最大の課題:商品別アプリ分離

金融商品ごとにアプリが分かれており、国内株式用「SBI証券 株アプリ」、米国株式用「SBI証券 米国株アプリ」など、複数アプリの管理が必要

2024年の改善試行と挫折
2024年9月に統合アプリをリリースしたものの、ユーザーから「使いにくくなった」との苦情が多数寄せられ、9月20日から旧アプリを再配信する事態に

3.2 ユーザーインターフェースの課題

直感的でない操作性
「直感的に取引できる仕様ではなく、欲しい情報がどこにあるか分かりにくい」「公式サイトやマイページは文字が小さく見づらい」との声もあります。

初心者への配慮不足
デモ取引サービスが提供されておらず、実際の資金を使った練習なしでの投資開始が必要

3.3 システム障害のリスク

2024年は12月12日時点で29件のシステム障害が発生(※SBI証券公式サイト システム障害等の発生状況・履歴より)。重要な取引タイミングでアクセスできなくなるリスクがあります。

ただし、楽天証券の2022年・2023年各31件と比較すると、障害発生頻度は相対的に少ないとも言えます。

3.4 外国株の為替コスト

米国株取引では、SBI証券は売買両方向で為替手数料が実質無料(スプレッドは存在)ですが、マネックス証券は売却時0.25円のコストが発生するため、総合的にSBI証券が有利です。

3.5 サポート体制の限界

ネット証券の特性上、対面証券と比較してサポートが薄く、「サポートに問い合わせることなしに使えるようにしてもらいたい」という声もあります。


4. 競合他社との客観的比較

4.1 主要指標での比較

口座開設数(2024年データ)

  • SBI証券:1,293.6万口座
  • マネックス証券:262.7万口座
  • 個人投資家アンケート:SBI証券保有率58%

投資信託取扱数比較

  • SBI証券:2,571銘柄
  • マネックス証券:1,762銘柄

外国株式取扱数

  • 米国株式:SBI証券4,500銘柄超 vs マネックス証券4,382銘柄(2025年5月時点)
  • 中国株式:SBI証券1,271銘柄 vs マネックス証券2,000超銘柄

4.2 各社の特徴

SBI証券:総合力重視

  • 手数料の安さと商品ラインナップの豊富さで業界をリード
  • IPO取扱数で圧倒的優位性

楽天証券:楽天ユーザー向け

  • 楽天ポイント・楽天カード連携で楽天経済圏ユーザーに最適

マネックス証券:米国株重視

  • 「米国株ならマネックス証券」と評される分析力と取扱銘柄数

松井証券:初心者向け

  • 1日50万円まで手数料0円、25歳以下は無条件で手数料無料

5. 【重要】二段階認証問題と不正アクセスの実態

2025年に発生した証券業界の不正アクセス問題は、個人投資家にとって看過できない深刻な事態となっています。この章では、被害の実態とSBI証券の対応策について詳しく解説します。

5.1 証券業界を襲った深刻な被害状況

急拡大する不正アクセス被害

2025年2月から4月の3ヶ月間で、不正アクセス3,312件、不正取引1,454件、売買総額約954億円という前例のない規模の被害が発生しました。

被害の急激な拡大

  • 2025年2月:2社43件 → 4月:6社1,847件(40倍以上の急増)
  • 2025年5月末時点:不正売買金額約5,240億円、被害確認証券会社16社

被害の手口
多くの場合、不正行為者が被害口座を操作して保有株式を売却し、その売却代金で流動性の低い中国株等を買い付ける相場操縦も含む手法

5.2 高度化するフィッシング詐欺

二段階認証も突破する「リアルタイムフィッシング」

最新の詐欺手法では、従来の二段階認証のSMSコードまで突破する「リアルタイムフィッシング」が横行しています。

🔒 なぜ二段階認証を突破されるのか?

手口の詳細:

  1. フィッシングサイトでID・パスワードを入力させる
  2. 「確認中」「Loading」画面を表示し、ユーザーに本物のサイトと誤認させる
  3. 裏で攻撃者が本物のサイトにログインし、SMSで送られた認証コードを被害者に入力させる
  4. そのコードを攻撃者が使用して不正ログイン完了

💡 ユーザーができる対策

  • SMSの認証コードは絶対に第三者に教えない
  • ログイン画面のURLを必ず確認する(ブックマーク利用推奨)
  • 「確認中」などの待機画面でも警戒を怠らない

重要な注意点:
なお、二段階認証を設定していてもフィッシング詐欺による突破が可能なケースもあるため、ユーザー自身の警戒が引き続き求められます。

SBI関連の偽装事例
SBIグループ代表取締役北尾氏や秘書を名乗るフィッシングメール・アプリも確認されており、手口がより巧妙化

5.3 SBI証券の多要素認証対応状況

2025年5月31日:多要素認証必須化実施

SBI証券は2025年5月31日から、デバイス認証・FIDO認証の原則必須化を実施しました。

提供される認証方式:

1. FIDO(スマホ認証)

  • スマートフォンの生体認証(指紋・顔認証)またはパスコードを利用
  • より安全性の高い認証方式

2. デバイス認証サービス

  • 未登録デバイスからの初回ログイン時にメール認証が必要
  • 一度登録したデバイスからは通常のID・パスワードでログイン可能

3. 電話番号認証サービス

  • 2025年5月31日より新たに提供開始
  • スマートフォン非保有者への配慮

必須化の実装方法
未設定ユーザーのうち、メールアドレス登録者には自動的にデバイス認証を適用

5.4 多要素認証利用時の注意点

外部サービス連携への影響
電話番号認証が適用されたアカウントは、マネーフォワード等の自動取得サービスでエラーが発生するため、デバイス認証またはFIDO認証の設定が推奨されます。

機種変更時の対応
スマートフォンの機種変更時は、新端末でSBI証券スマートアプリによる再認証設定が必要

アプリ対応の遅れ
米国株アプリのスマホ認証対応は2024年4月26日と、他アプリより遅れて実装

5.5 他社との比較:業界全体の対応状況

各社の必須化スケジュール

  • SBI証券:2025年5月31日実施済み
  • マネックス証券:2025年5月30日より必須化
  • 楽天証券:2025年6月1日より必須化

業界団体の方針

  • 日本証券業協会:「具体的な対応開始時期は証券会社ごとに異なる」として、実施方法に温度差
  • 多要素認証の「基本的な義務化」方針を表明

5.6 被害補償の対応

業界統一の補償方針
日本証券業協会と大手・ネット証券10社が、各社の約款等に関わらず一定の被害補償を行う方針で申し合わせ

補償の条件

  • 被害状況の十分な精査
  • ID・パスワード管理態様の確認
  • 証券会社の対策実施状況等を総合的に勘案
  • 個別事情に応じた対応

6. SBI証券利用時のセキュリティ対策

6.1 必須設定項目

多要素認証の設定

  • デバイス認証またはFIDO認証の設定(必須)
  • 可能であれば生体認証対応のFIDO認証を推奨

ログイン通知の有効化

  • 不正ログインの早期発見のため必須

6.2 日常的な注意事項

基本的なセキュリティ対策

  • OS・ブラウザ・セキュリティソフトの最新版維持
  • インターネットカフェ・ホテル等の共用端末でのログイン禁止
  • パスワードの使い回し禁止と定期的な変更

監視・確認の重要性

  • 定期的な取引履歴・資産状況チェック
  • 異常発見時の迅速な証券会社連絡
  • メール・SMS等のフィッシング詐欺への警戒

7. 2025年最新の動向・サービス変更点

7.1 サービス改善・拡充

アプリ・サイトのリニューアル
マルチデバイス対応、見やすく使いやすいデザインへの改善を順次実施中。ただし株アプリの米国株取引機能追加は開発延長中

新商品・サービス

  • 新商品先物取引サイト提供開始(マルチデバイス対応)
  • 「ゼロ革命1周年」記念米国ETF売買手数料実質無料キャンペーン実施

7.2 クレカ積立の変更点

還元率の変更
2024年11月買付分以降、三井住友カードの最大還元率が5.0%から3.0%に変更。ただし、依然として業界トップクラスの水準を維持。

上限額の引き上げ
2024年3月24日から積立設定上限額を月額5万円から10万円に引き上げ(年間120万円)


8. SBI証券が”合う人・合わない人”とは?

8.1 SBI証券がおすすめな人

コストを重視する投資家

  • 国内株式取引手数料無料の「ゼロ革命」の恩恵を最大限活用
  • S株(単元未満株)も完全無料で少額投資が可能

商品の豊富さを求める人

  • IPO投資、外国株投資、投資信託の幅広い選択肢を重視
  • 一つの口座で多様な投資を完結させたい人

長期的な資産形成を目指す人

  • 新NISA・iDeCoでの長期投資
  • クレカ積立によるポイント還元も活用

ITリテラシーがある中級者以上

  • 多少の操作性の悪さを許容できる
  • セキュリティ設定を適切に管理できる

8.2 他社を検討すべき人

操作性・UI重視の初心者

  • アプリの分散や操作性の課題を懸念する場合
  • デモトレードで練習してから始めたい人

楽天経済圏ユーザー

  • 楽天ポイント・楽天カードとの連携メリットを重視

米国株投資メイン

  • 分析ツールや情報提供でマネックス証券に優位性

対面サポート重視

  • ネット証券の限界を超えたサポートを求める場合

9. 口座開設前のチェックポイント

9.1 事前準備

必要書類の確認

  • 本人確認書類(マイナンバーカード推奨)
  • マイナンバー確認書類

セキュリティ設定の検討

  • スマートフォンでの生体認証設定確認
  • デバイス認証用メールアドレスの準備

9.2 開設後の初期設定

優先設定項目

  1. 多要素認証(FIDO または デバイス認証)の設定
  2. 電子交付サービスの設定(ゼロ革命適用のため)
  3. ログイン通知の有効化
  4. 住信SBIネット銀行口座開設(利便性向上のため)

投資方針の明確化

  • 主要投資対象(国内株・米国株・投資信託等)
  • 積立投資の有無とクレカ積立の活用

10. まとめ:SBI証券の総合評価

10.1 圧倒的な強みと改善課題

業界をリードする強み

  • 「ゼロ革命」による手数料面での圧倒的優位性
  • 商品ラインナップの豊富さ(IPO・外国株・投資信託)
  • 高度なIT基盤による安定性・拡張性

継続的な改善課題

  • ユーザーインターフェースの改善
  • アプリ統合の実現
  • セキュリティ強化と利便性のバランス

10.2 セキュリティ面での評価

業界標準の対応
2025年5月の多要素認証必須化により、業界標準のセキュリティレベルに到達。ただし、高度化するフィッシング詐欺に対してはユーザー自身の注意も不可欠。

今後の展望
セキュリティ強化と利便性向上の両立が継続的な課題。業界全体での取り組み強化により、より安全な投資環境の実現が期待される。

10.3 項目別詳細評価

評価項目 評価
(★5点満点)
コメント
手数料 ★★★★★ ゼロ革命で業界最安水準を実現
商品ラインナップ ★★★★★ IPO・投信・外国株ともに充実
使いやすさ ★★☆☆☆ UIやアプリ分散に改善余地あり
セキュリティ ★★★★☆ 多要素認証対応済みだが詐欺リスク残存
情報提供・ツール ★★★☆☆ 情報提供は標準的。分析機能は今後に期待

10.4 最終的な推奨度

★★★★☆(5点満点中4点)

総合評価の理由:

  • 手数料・商品力・実績で業界最高水準という点でも注目されます
  • セキュリティ対応も業界標準をクリア
  • UI・UXの改善余地はあるが、メリットがデメリットを上回る状況です
  • 特に中長期的な資産形成には最適な選択肢と考えられます

結論:
SBI証券は、多少の使いにくさを許容できる投資家にとって、コストパフォーマンスと投資機会の豊富さで最優秀の選択肢と考えられます。セキュリティ設定を適切に行い、定期的な確認を怠らなければ、安心して利用できる優秀なネット証券と評価できるでしょう。




※投資にはリスクが伴います。投資判断は自己責任で行ってください。

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